※移転テストとして過去ブロマガに掲載したシナリオ考察記事の転載です。公開2016-03-19
「ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア」(以下ORAS)のシナリオを読みこんでいく全5回のエントリーのうちの1つめ。当ソフト及びXYをプレイ済の方に向けた文章になっている。
ORASのテーマは共存、と言われている。原作の陸と海の対極関係を踏襲しつつ、人と自然(ポケモン)、懐かしさ(リメイク要素)と新しさ(新世代要素)が同時にそこにある素晴らしさを謳っている。
「ポケットモンスター オメガルビー・アルファサファイア」(以下ORAS)のシナリオを読みこんでいく全5回のエントリーのうちの1つめ。当ソフト及びXYをプレイ済の方に向けた文章になっている。
ORASのテーマは共存、と言われている。原作の陸と海の対極関係を踏襲しつつ、人と自然(ポケモン)、懐かしさ(リメイク要素)と新しさ(新世代要素)が同時にそこにある素晴らしさを謳っている。
この点は非常に優れており、宣言通りの試みを実現できていると感じた。旧ルビー・サファイア(以下RS)の体験を "思い出補正"に負けないパワーで再び輝かせてくれたと思う。
対して、"新しい部分"に対する不安や受け入れ難さが顕著になっているように思う。
旧RSとORASの相違点、主に新しく追加された要素の設定意図を改めて汲み取り、心穏やかにそれらを受け入れるための考え方を探りたい。
旧RSとORASの相違点、主に新しく追加された要素の設定意図を改めて汲み取り、心穏やかにそれらを受け入れるための考え方を探りたい。
考察対象とするリメイクの相違点
- タイトル ルビー・サファイア(RS)→オメガルビー・アルファサファイア(ORAS)
- システム 図鑑ナンバー 対戦 通信など 仕様からくる相違点
- シナリオ マグマ団、アクア団のキャラクター・設定の変更点 …差別化
- シナリオ キンセツ関係のマップ変更、設定追加 …コンセプトの補完
- シナリオ ゲンシカイキに関する設定の追加、シナリオの変更 …本来の目玉
- シナリオ メガシンカに纏わるシナリオ、設定追加 …最終兵器と並行世界問題
- シナリオ バトルリゾートに関するシナリオ追加 …ミツル"廃人化"問題
本考察では、劇中の主人公視点のシナリオの世界観となるNPCの台詞やテキストと、
プレイヤー視点で語るゲームデザインとしての仕様及びNPCのメタ発言、パロディ表現や旧作プレイヤー向けファンサービスとしてのメタ発言、制作上の都合や元ネタ・モチーフに言及したり、タイアップ・広告宣伝に関わる情報など、様々なメタレベルの情報を区別して、メタ階層の違いに触れる強引な解釈は避ける。
この姿勢を「インドぞうを深追いしない」と呼称したい。由来はいずれどこかで。一部上記のように色分けしてみてはいるが、どのように有効なのかわからない実験段階なのでまだあまり気にしないでほしい。
プレイヤー視点で語るゲームデザインとしての仕様及びNPCのメタ発言、パロディ表現や旧作プレイヤー向けファンサービスとしてのメタ発言、制作上の都合や元ネタ・モチーフに言及したり、タイアップ・広告宣伝に関わる情報など、様々なメタレベルの情報を区別して、メタ階層の違いに触れる強引な解釈は避ける。
この姿勢を「インドぞうを深追いしない」と呼称したい。由来はいずれどこかで。一部上記のように色分けしてみてはいるが、どのように有効なのかわからない実験段階なのでまだあまり気にしないでほしい。
タイトル
ルビー・サファイアという宝石はどちらも同じコランダムという鉱物で酸化アルミニウムの結晶である。含まれる僅かな不純物の違いにより赤色にも青色にもなる。日照りと大雨、グラードンとカイオーガ、"バランスの偏り"によって『色が変わる』象徴するとして秀逸なタイトルである。
殆どの人が突っ込まないでいると思うが αだけ小文字なのは大文字ではアルファベットのΑと区別がつかないためと思われる。小文字のオメガωも図像としては弱い印象(´・ω・`)… 同じく文字を絡めたタイトルである前作のXYの登場人物「AZ」もまたアルファベットの最初と最後の文字であり、発売前から関連性を強く感じさせていた。
システム
図鑑ナンバー
以前いなかったポケモンが増えているのはリメイクタイトルにつきまとう問題である。
旧作プレイ体験を崩さないための対処法が、その都度違う。変動する新旧ローカル図鑑(そのタイトル限定のナンバリング)と不動の全国図鑑(ソフト発売順に拠する絶対的なナンバー)の切り替えタイミングを比較してみる。
旧作プレイ体験を崩さないための対処法が、その都度違う。変動する新旧ローカル図鑑(そのタイトル限定のナンバリング)と不動の全国図鑑(ソフト発売順に拠する絶対的なナンバー)の切り替えタイミングを比較してみる。
「赤・緑→ファイヤレッド・リーフグリーン(FRLG)」 初代151種から第三世代386種でポケモンの数は2倍以上に増加している。殿堂入りまでは カントー図鑑として旧作と同じ151種のみ登場。進化条件アイテムが入手できなかったり、時計機能を搭載しないことでイーブイのなつき進化を不可能としている。エーフィ・ブラッキーへの進化はRSEのカートリッジに移さないとできない。殿堂入り後、新マップで全国図鑑のポケモンやアイテムが解禁。
「金・銀→ハートゴールド・ソウルシルバー(HGSS)」 これもまた251から493とほぼ倍に増えた。殿堂入りまでは ジョウト図鑑として旧作から5種加えた256種。極力登場数を旧作の通りに制限しているが、特定の技を習得することが進化のキーとなるエテボース、ベロベルト、モジャンボ、メガヤンマ、マンムーの5匹が除外できなかった。全国図鑑は殿堂入り後に解禁される。
「RS→ORAS」 第三世代386種から第六世代およそ720種、メガシンカなども数に入れるとちょうど2倍である。ホウエン図鑑として旧作で登場した202種の全ての追加進化後、進化前を加えた211種が登録できる。殿堂入り前に全国図鑑ナンバーの登場が解禁され、その理由もシナリオ上で「ゲンシカイキのエネルギーがホウエン地方に降り注いだ」と説明される。
いずれの場合もタマゴの孵化や配信イベント、通信交換により全国図鑑入手前でもローカル図鑑番号外のポケモンを入手する機会がある。その場合は図鑑ナンバーは???となる。
リメイクに対しての「旧作のプレイ感を大事にする」という考え方を堅いものからちょっとずつ崩して軟化させているのが伺える。ある意味開き直った部分もあるだろうが、ホウエン図鑑202種は、初代で歌にもなった「151の思い出」ほど重要視されない数字なのは確かだ。※’18/01/17追記 ちなみにダイヤモンド・パール(DP)がリメイクされたら、ニンフィア以外の追加進化がいないため、シンオウ図鑑のナンバーは1しか増えないはず。
対戦関係
対戦システムは常にその世代のものに従う。特筆すべきは旧RSは物理・特殊の概念が技個別ではなくタイプに依存していた(例えば現在特殊攻撃の”はかいこうせん”はノーマルタイプなので当時は物理だった)ことぐらい。新旧でのメガシンカ現象の有無について触れるシナリオ・台詞が存在するわりに、フェアリータイプが存在することについてはシナリオ上ほとんど触れられていない。
メガシンカについてはシナリオの項目で取り上げるとして、それ以外の相違点は設定的な理由付けを求めるよりは、対戦試合ルールのレギュレーション更新と捉えるのが無難。
メガシンカについてはシナリオの項目で取り上げるとして、それ以外の相違点は設定的な理由付けを求めるよりは、対戦試合ルールのレギュレーション更新と捉えるのが無難。
通信関係
旧RSは 第二世代以前と互換性が切れた。それ故、FRLGが発売されるまで、フシギダネなどの旧ポケモンに会えない、初代世代のユーザーにとっては(過去のポケモンがリストラされたのではないかと)不安な期間が2年ほど続いていた。
始めてすぐポケバンクで他地方のポケモンを連れてこられるORASとの環境の違いのひとつかもしれない。これは ゲームボーイ と ゲームボーイアドバンス間のハード的な都合で、制作者たちの意図ではない。
始めてすぐポケバンクで他地方のポケモンを連れてこられるORASとの環境の違いのひとつかもしれない。これは ゲームボーイ と ゲームボーイアドバンス間のハード的な都合で、制作者たちの意図ではない。
しかしこれを転機とし、育成システムが一新され、入手した個体の次世代への引き継ぎが今に至っても継続されている。「なにもかも初めてだった手探りな初代」から「思わぬ規模のヒットへの対応に苦心した第二世代」までの継ぎ接ぎの仕様を整理し、文字通り以後10年以上運用できるシリーズの基盤として開発したのだと思われる。(内容の是非や好みはさておき)
ちなみにポケモン公式絵のアナログ着彩からデジテル彩色移行もここからであり、今まではリメイクのたびにアナログ公式絵から最新のデジタル公式絵への差し替えが行われていったが、RS初登場のポケモンの公式絵は12年変更されず使用されている。(人間キャラやポケモンカード描きおろしなどではデジタルツールへの移行はもっと早く見られるが。)
ORASがこれまでのリメイクと異なるのは、互換切り以前のタイトルと違い、RSで冒険を共にした個体がリメイク後のORASで似て非なる冒険をできてしまうという二重性であり、シリーズの展開が「一巡」した 互換切り以来の第二の転機と言えるだろう。
リメイク前の個体を連れて来ると表彰される仕掛け。こんなん泣くに決まってるでしょ…
以下は自分がORAS発売前に描いた、RSのポケモンがORASへ旅をする漫画である。
ポケモンの個体ごとのステータスにはトレーナーメモ、pokemon info という項目があり、
「性格」「出会った場所」「個性」が記載されている。
XYの表記のままだと『ホウエン地方から~ホウエン地方にはるばるやってきたようだ』となってしまうため、なにかしら変更が加えられるだろうと上の漫画では『ホウエン地方に帰ってきた』と予想したのだが、実際は『ホウエン地方から~はるばるやってきたようだ』と省略されただけとなった。
出現する個体ごとにブチ模様がちがうパッチールの同一個体を並べてブチの再現を比較するイジワルな試み。
それぞれ第三世代FRLG、第五世代BW、第六世代XY。微妙にズレが生じて最後右耳のブチが消失している。
世代を超えて移動した個体は出会った場所のステータスが特殊表記となる。
第三世代→第四世代 ○○地方からやってきた (HGSS、DPt間でも同様)
第三世代→第五世代 ○○地方からながいときをこえてやってきたようだ
第五世代以前→第六世代 ○○地方から時間と空間をこえてはるばるやってきたようだ
対戦関係ではスルーしたメガシンカの有無、時空を超えたという表記、これらは
別の項でとりあげる「並行世界設定」問題に深く関わってくる。
各ソフト間の詳しい表記の差はこちらのまとめが詳しいので興味がある方は覗いてほしい。
トレーナーメモ検証 http://momomomemo.blog78.fc2.com/blog-entry-28.html
次回はマグマ団、アクア団のキャラクターの変更点へのツッコミをします。
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