ニコニコ動画とYouTube(プレイリスト)で公開しました。
企画のきっかけ
時を遡ること2010年に『ブラック・ホワイト』に登場するイッシュ地方の全ポケモンのイラストを募集して制作した動画「イッシュのポケモン言えるのか!」も企画しました。その後、あの感じで 2015年から翌年のポケモン20周年までに1年かけて準備をすれば、全ポケモン720匹分の動画もできんじゃね?と軽い勘違いしたのがきっかけです。
「ポケモン言えるかな?」を649匹も羅列してもダレるだけなのは検証済みなので、飽きさせないためにタイプ別に分けて一匹ずつの描写を増やしたらどうだろうと思い至りました。
ある程度の動画の方向性を決めて19周年となる2015年2月27日から協力者を募集し、最終的には250名以上の協力を経て、フォルム違いを含め800種以上を登場させた壮大なシリーズを作ることができました。完成までたくさんのご協力・応援ありがとうございました。
動画を見て頂いたお礼、動画に協力頂いた感謝の気持ちを忘れないために、各動画の構成や元ネタを解説していきます。
ノーマルタイプ(前編)
タイプ相性の弱点を突いていく順に公開するというアイディアがあり、弱点を突けないタイプとして必然的に一番始めになるのがノーマルタイプでした。
ノーマルとみずタイプを持つポケモンは数が多く、全てを登場させると ひとつの動画として冗長なボリュームになってしまうと考え、それぞれ2つの動画にわけています。幻のポケモンアルセウスのような大物を後半の動画にもってきたい意図もあり、18タイプとノーマル、みずの重複で全部で20個の動画というキリの良さも決め手でした。
各タイプごとにテーマを設け、動画テイストの差別化を図っています。ノーマルは「普通」、ポケモンにとっての普遍性、即ち「御三家を選択」「図鑑完成のためにポケモンを集める」「トレーナーやジムリーダーに挑み強くなっていく」など、「20年間変わらないポケモンシリーズの姿」を描こうと試みました。この企画のトップバッターとして相応しい。シリーズの頭しか見ない人もいるだろうことを考え、気合を入れて情報量を詰め込んでいます。
ゲーム本編『赤・緑』の発売20周年なので、基本はゲームのコアシリーズ思い出がコンセプトの中心になっています。
歴代エンカウントエフェクト
草むらなどでポケモンと出会う瞬間の場面転換のエフェクトを最初に持ってきました。普段何気なく目にしていて、取り上げられる機会は少ないですが、見たら意外と思い出しませんか?動画では初代からBWあたりまでのものを入れました。
実際のゲーム映像を凝視しながら1から作って再現してます。画面の縦横の比率は時代によって変わるので、改めて動画の16:9のサイズで似た印象になるように組み直しています。斜め線もあえてギザギザにして解像度粗くドットっぽくしたりなどの加工も。
歴代御三家選択場面
DPt(博士のカバン)→BW(プレゼントBOX)→HGSS(ウツギ研究所)→XY(メイスイタウン)→ORAS(たすけてくれ!)→BW2(ベル)→FRLG(オーキド研究所)→どれを選ぶ?
ポケモアさんがほぼフルアニメーション(1秒24コマ分)で描いて下さいました。ゲーム原作準拠で最新のデザインに合わせています。ナナカマド博士のカバンの小物が全てレイヤーわけされて描かれていたり、アララギ博士の手紙、ウツギ研究所のマシンなど、芸が細かい。
生㌔からの指示は順番と秒数のみ、「ジョジョのTVアニメ第1部のOP映像冒頭で歴代ジョジョが原作絵で動くあの情報密度感」みたいな例えをしてました。このシリーズで初めて出たポケモンがあくタイプのポチエナなのはご愛嬌。
最初の草むらには、コラッタ オタチ ジグザグマ ビッパ ミネズミ ホルビー。
奈河つもじさんが背景と合わせて全て描いて下さいました。どれも2,3コマの動きで躍動感あふれえます。制作中早い段階でラフイメージがあがってきたのでこれを基準にノーマルの動画の編集の方向性が固まっていきました。
ポケモンの最大の特徴「モンスターボールで捕獲」というカットをはさんで次へ。
歴代ポケモン図鑑 画像は動画の中の順ではなく作品登場順に並べてみました。
歴代図鑑と様々な野生のポケモンたち。集めて図鑑完成を目指すというゲームの根幹でもある部分です。絵柄もバリエーションが増えてポケモンの多様な感じが出てます。
ドードーはmarumoさん。遭遇と警戒の2ステップを描いていただきました。
キリンリキ・ケンタロス・ラッキーはサトウマミさん。ポケモンごとに遭遇時の反応が違いますが、ラッキーはサファリでせっかく出会ったのに逃げられちゃうところですね。
ナマケロはスズさん。なまけ者らしいだらっとした感じで描いて頂きました。
エイパムはマヌーケーさん。高い木に生息する設定通り「ずつき」や「あまいみつ」で出現する特殊なポケモンということで、木とセットが自然だろうという案を頂きました。
タブンネは雨宮時雨さん。透明水彩で描いて取り込み、デジタルで切り抜くなど手間がかかっています。揺れる草むらから出てくるイメージをかわいらしく膨らまして下さいました。
ゴニョニョはORASの第六世代ならではの群れバトルになってます。一匹は色違い、そして最初は生㌔気づいてなかったのですが隠れ特性のビビリも混じってます。これは担当されたロン・ユェさんのアイディアです。この動画は皆の知恵とセンスにとても助けられてます。
図鑑は開くギミックを見せるため、開閉2パターンをパーツごとに用意して頂きました。
XY、ORAS図鑑はかんなさん、後に出てくる歴代ジムバッジも担当されてます。
赤緑、金銀、FRLG、HGSS:いす太さん。RS:煮ごこりさん BW:みちかさん。
DP図鑑を3DCGで作ったのは、ほのお、ひこうタイプのBGM担当でもある
あいがるさん。
ポケモン図鑑も毎度色々なデザインがあって面白いです。DS世代は2画面になったりするところも時代を感じますね。サンムーンに登場するのロトム図鑑も非常に楽しみです(※発売前の感想)。
このあたりは歴代○○といったくくりではないですが、ポケモンの生息域や入手方法のバリエーションを示す目的の他、映像中の繰り返しに変化をもたせたいなど編集の都合的なタイミングで登場させています。
ポリゴンといえばスロットマシンとコイン。BON-9625さんの担当です。スロットのリールの絵柄なども用意してもらいました。
初代は初のポケモンゲームということもあり、交換の概念を伝えるために交換でしか入手できないポケモンも多く登場しました。そのうちの一種「なめぞう」と名付けられた ベロリンガは きくよしさん担当。背景が18番道路のゲート2階なのが原作準拠で芸コマ。飛んでくるヨダレも描いて頂いています。
オドシシは野生種との遭遇の瞬間を描いた1枚、驚いた塾帰りの落とした荷物などはHGSSののグラフィックが意識されてますね。担当は笹島らんさん。
ノコッチは図鑑文章の説明文「尻尾のドリルで地面をほって後ろ向きに逃げる」をマヌーケーさんに再現してもらいました。掘った土塊などのエフェクトだけ生㌔が足しています。
ミミロップは 編集上のワンポイントとして動きで魅せようと耳など揺れモノの柔らかさかわいらしさを目指しています。サンイチさんに手脚耳をレイヤ分けして描いて頂き、アニメーションさせました。背景の用意まで手が回らなかったのはチョット心残りです。
…と纏めたい所でしたが、生㌔の思い違いでザングースが「いあいぎり」を習得できると勘違いしたまま、「ほそい木」を切断する内容で指示を出してしまいました。担当の雨猫さんには、二者の関係性を絵柄や構図で持たせようとハブネークの担当も予めお願いしていたこともあり、youtube版up後に急遽宿命の対決に変更して、ニコニコ版ではハブネークにゲスト出演頂きました。
バッフロンの「かいりき」はまめすずめさん。「おおきないわ」を押すポーズを数枚用意頂いて、こちらで動きをつけました。力強い構図で怪力感出てますね。
ヤルキモノの「ロッククライム」はフル3DCGで、担当者のコマさんがやる気を出し過ぎました。モデリング、アニメーション、カメラワークまで一人でされています。
ミルホッグの「フラッシュ」は
うらどさん。眼力。体のラインが発光して洞窟を照らすイメージで、動画加工のために発行前と発光部分のパーツをわけて描いて頂きました。
チラチーノが回転するアニメーションを描いてくれたのはおるらいさん。BWでの進化エフェクトを今一度個人的に解釈して表現してみました。DNAの二重螺旋のイメージとくるくる舞ったチラチーノの尾や毛が良い感じに重なります。
ポリゴン系のイラストは引き続きBON-9625さん。アップグレードで2に進化した時に見せる仕草は、図鑑説明文にちなんで感情を得た感じにしてみました。あやしいパッチをあてたZにはややエラーのような動きをいれてみました。首がねじきれてひっくりかえってしまったデザインと解釈して進化時の変形過程にとりいれています。
今はなくなってしまいましたが、ペラップの技「おしゃべり」はDPからBWまで、DSのマイク機能で音声を吹き込み、攻撃時にその音声をつかって攻撃するという面白いものでした。「おしゃべり」させるため、担当のミックーさんに口パク、首の動き差分を描いてもらいました。当初ひこうで出す予定でしたが、特徴を魅せ難いのでノーマルに変更した経緯があります。
カクレオン・カビゴンは共に道を塞いでいたポケモンです。カクレオンはデボンスコープを通すと姿が見える感じを主人公視点でやってみました。お腹の模様は消えないので見えてます。このカビゴンはシオン側を塞いでる方ですね。担当は2匹ともまみりんさんです。
歴代ミニスカート
野生で出会うだけでなく、トレーナーが所持しているポケモンもいる、と示すシーン。
ノーマルといえば、たんぱんこぞうもシリーズ皆勤賞ですが、カワイイ系のポケモンたちを登場させるなら女の子と組ませようかなという判断でミニスカートにしました。
「ねこにこばん」が舞っているニャースはぴろこさん担当。 初代ミニスカはサボテリアンさん。「ニャースってちょーかわいいの にゃーにゃー」って言ってる娘いましたよね。
プリンはたすくさん。フェアリータイプの動画でも登場させています。
金銀のミニスカはドット絵だとガングロなイメージあります。担当はハマチさん。
エネコはくるくるまわる動きがらしくて良いです。石蕗らいしさんが動かしてくれました。RSとORASのミニスカはほぼおなじデザインとして分けず、担当は煮ごこりさん。
くりだされて即飛びかかってくるペルシアンは猫天狗さん。FRLGミニスカは蛇口。さん。バトルサーチャーで再戦を繰り返すとペルシアンを所持したミニスカも出てくるようです。
ニャルマーは尻尾のぐるぐるが全て切り分けて描かれていてじんわり伸び縮みさせてます。担当はくじらさん。ニャルマーはギンガ団ばかりでDPミニスカは持っていなかったですが、ニャースエネコと猫ポケであわせてここで出しています。ミニスカはオニモツさん。
ヒメグマ・チラーミィ・エネコロロは風丘ソルフェさん担当。ヒメグマは図鑑説明文の通りミツの染みこんだ手をペロペロしてます。チラーミィはきれい好きなので自分が降り立った場所を尻尾で掃いてますね。エネコロロは おすましポケモンなので、ツンとした感じでお願いしました。HGSSミニスカは千炭さん、BWミニスカは戸川めいさん担当です。
ミミロルはミミロップと同じくサンイチさん担当で、手脚耳などパーツわけして頂き動かしています。XYミニスカは生醤油さん担当です。
ラストはORASのセンパイとコウハイです。ORASのミニスカと同じ学校の1、3年生というデザイナーのイメージが明かされていたのでミニスカに含めてます。担当は新猫さん。
マッスグマはぐるだぐさん担当。当初1匹での登場を想定して描いて頂きましたが、ダブルバトルでエネコロロとタッグを組むのは、パズルのような編集の調整で後に決まったことなので申し訳なかったですね。長期の制作でそういった采配の調整はなかなか難しいです。
モンスターボール投球アニメーションのベースを生㌔が用意して、それを担当者がガイドにして各世代のミニスカを指定のポーズで描きました。ポケモンの方は、ボールからとび出てきたイメージで描いてもらっています。この一連も動きに注力しすぎて背景まで手が回らなかったのは心残りなポイントでした。
最初の[!]はトレーナーと目があった象徴として入れました。サンムーンの[!]の処理は近づくと画面全体に現れる、面白いものになってましたね。
イーブイをくれる人物には歴代あずかりシステム管理人が多いので、合わせて登場してもらいました。ゲームでも管理人たちはお互い情報交換しあって繋がっているようなので、ポケモンマニア・マサキを中心にイーブイの提供がありそうだな、という生㌔の想像です。
イーブイはどの地域でも珍しかったのですが、カロス地方では野生に普通に出る(ヒウンはじまりの場所の比ではない)のでまずクロケアが捕まえてきます。
イーブイは通信でカントーのマサキの手へわたり、ポケモンボックスとポケモンバンクのアズサ、ホウエン地方にいるその妹のマユミ、シンオウ地方のミズキ、ナナシマのニシキ、イッシュのショウロ、ポケモン牧場のユカリ、と旅をします。
担当はみつぼしさんで、イーブイのアニメーションを何枚も描いただけでなく、各人物の背景に描きこまれた小物(ホウエンのフエンせんべいやシンオウのボールシールなど)まで拘ってあるのでじっくり見てみてください。
カモネギが無双するシーンは生㌔が描いたものを、かんざきさんが清書や塗など仕上げをして下さいました。この動画の中でも異質なパートで、「こんなカモネギを見たい」というただ単に主催者の趣向が反映された、コンセプトとは無関係のセレクトです。こうした依怙贔屓は主催者特権ですが、ドゴーム・ハーデリアのファンの皆様には心からお詫びします。
歴代ノーマルジム
場面転換で赤緑からXYまでのバッジが画面をうめつくします。全部で50種あったかと思います。質感の統一のため、かんなさん一人にお任せしてあります。ニコニコ版では動画サイトのエンコードによって細部が潰れて見づらくなり、悔しかったです。
トウカジムリーダーで主人公の父親、センリとケッキングはきくよしさん担当。静かですが屋外で葉が舞ったり立体的にじんわり動くことで、ものすごい威圧感が出てます。
最後にコガネジムリーダー・アカネがHGSS風カットインで登場。ミルタンクの「ころがる」は苦戦した思い出として根強いため、強敵として描こうとたっぷり尺を使っています。ミルタンクやアカネの細かい仕草を描いてくれたのは蟹公さんです。
様々な書式で書かれたタイプ名が流れていき(このシリーズの各タイプのタイトルロゴを使用)、最後に表れたロゴで、ようやくこの動画が「ノーマルタイプ」なテーマだったことを明かします。
言われなければノーマルだけだったな、と気づかないぐらいには、十分「ポケモン」ってこうだよね、と言ってもらえる動画には出来たかと思います。ノーマルタイプであること自体は特に強調せずとも、ポケモンの20thを祝うこのシリーズ全体の集約となっていれば狙い通りです。今回のタイプ別タイトルロゴは生㌔が作り、初代赤緑のタイトルロゴを意識したタイポグラフィにしてみました。
続いて、ポケモン初代発売の1996から20周年の2016まで、数字がカウントアップし、リリースされた歴代タイトルが流れていきます。
ニコニコ動画で「ブラックから」「金銀から」など、各視聴者それぞれの初プレイタイトルを書き込んでくれて、とても嬉しかったです。どの世代から始めた人も、等しくポケモンファンとして語り合えればいいなと思います。流れていくモンスターボールを本編に登場する全種類描いてくれたのは鳥類さんです。ガンテツボールやプレシャスボールなどもあります。
あくまで非公式です
「ポケモン20thを祝いつくす動画」のシリーズタイトルが表示される際、 ”非公式”の文字から入ってきます。
公式による「ポケモン言えるかなBW」とファンメイドの「イッシュのポケモンいえるのか」が意図せず偶然公開時期が被ってしまった苦い経験があり、非公式です!アピールは最初から積極的にしていこうと思った結果です。
ちなみに「祝いつくす動画」とは、初代ポケモンの頃あった攻略本の「遊びつくす本」シリーズを意識しています。仮題として募集時につけたものですが、正式タイトルをちゃんと考える前に馴染んでしまい、コレ以外思いつかなくなってしまいました。非公式感も漂っていて聞いただけで何の動画か分かりやすく、オシャレな横文字のタイトルにするよりは結果的には良かったのではないかと思います。
BGMについて
依頼した時点ではまだ絵も集まってない状態でした。
0:00 エンカウント
1:20 イッシュ野生戦
1:30 シンオウ野生戦
1:40 カロストレーナー戦
2:11 メインテーマ
2:25 カントートレーナー戦
2:37 ホウエントレーナー戦
2:51 ジョウトジム戦
改めて参加者の皆様にはイラスト、アニメーション、BGMやデザインなど多岐にわたりお世話になりました。ありがとうございました!
動画末尾の予告 NEXT TYPEで 正しい英語訳 "FIGHTING" ではなく "FIGHT"になってたのは素で間違えました。恥ずかし。
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