2017年1月14日土曜日

20th祝いつくす解説 はがねタイプ

ポケモン20thを祝いつくす動画はがねタイプの解説です。

 はがねタイプの動画はロボットやメカなど、とにかくカッコイイ感じを突き詰めました。いずれもステレオタイプですが、フェアリーが女の子ジャンルの粋を集めた方針だったように、こちらは「男の子が好きそう」を目指しました。
歯車や変形機構など、とにかくはがねポケモンのもつギミックを動かそうとしているのでリッチなアニメーションが多く、結果的に見応えも出てきていると思います。

 BGM編曲はeffeさん。はがねタイプといえば『決戦!ダイゴ』と決めておりました。鳴き声が入っているあたりなどは原曲の増田さん自身がアレンジした『Steven Stone』の方の意識も大きいですね。

 てっぺきガードのおんなのこ、ミカンからスタートします。金銀当時ポケモンの中で最大のたかさを誇るハガネールと華奢な女の子というギャップは魅力的で、よく二次創作でも描かれる題材でした。今回はそれを映像化してみました。
 ハガネールの3Dモデリング・立体出力・彩色はコマンドウルフさん。ミカンの2Dアニメーションは猫さん。ハガネールは3Dプリントした模型を使った実写というハイブリット。

こちらの動画で3Dプリントの過程が紹介されてます。その時ついでに、関節ごとにわかれたハガネールも一緒に用意してもらっており、祝いつくす動画で使う準備を進めていました。
はがねタイプの公開は遅かったですが、元々このシーンの絵コンテは2015年の3月あたりにできていて、早期からイメージが固まっていたポケモンのひとつでした。

 鋼タイプはボディが硬質なポケモンが多いので、関節ごとにわかれたイラストを動かす手法と馴染みがよいです。描く担当者も大変ですが、動かすのも大変でした(でも楽しい)。
 エアームドは翆色さん担当。鋼のメタリックな質感と疾走感をいれるため、生㌔の方で体の表面に映り込みを足しています。

 レアコイルは回転する磁石やネジ穴など、ありとあらゆる場所が動きまくり、シンプルなデザインながら複雑な動作を見せます。ラスターカノンにポケモンカードのはがねタイプのエネルギーマークが浮かんでいるのが芸こま。それぞれパーツごとに大量の素材を描いてくださったのはそきりゅさん。

 ハッサムは腕の目玉模様で威嚇(図鑑説明文)→BWの待機モーション→変身演出のメガシンカとつないでいます。メガハッサムはバレットパンチ→背中の羽で冷却という流れで、一連をポーズ別に5,6カットぐらいあり、マルコさんに全て関節ごとに描き分けて頂きました。


はがねタイプのタイトルロゴはフェルトさんです。硬質なイメージでまとめて頂きました。
 ギルガルドは特徴であるバトルスイッチ、ブレードフォルムとシールドフォルムも。四天王ガンピのポーズも変わっています。とくががくとさん担当。
 フォレトスは殻を開いて砲身が飛び出る動きを。まきびしを撒いています。森の要塞(フォレスト+フォートレス)というネーミングがかっこよすぎる奴。ニコロナさん担当。



一番左の画像はむしタイプのチョボマキとカブルモです。この二匹を通信交換することにより、カブルモはシュバルゴへ進化するのですが、チョボマキの殻を鎧とするデザインになるのは面白いアイディアですよね。担当の猫天狗さんもそこをうまく読み取って、むしタイプの動画で殻に入り込んでしまったカブルモから続くように進化の過程を描いてくださいました。
 アイアントは蟻の巣の蠢く群れのイメージです。ポーズのパターンも複数ありますが、いずれも担当のかんなさんに関節ごとに分けて描いて頂いています。

 ゲノセクトは劇場版の5匹のイメージで、飛行形態から展開するギミックをなんと5種類もミックーさんが描いてくださいました。赤いゲノセクト以外は使い回しでも成立すると思っていたのですが、おかげで豪華になり、青カセットが涙を流すなどの演出も加えられました。
 エンペルトは1枚絵ですが、鋼パーツを強調するために光沢をキラリとさせました。皇帝なので動かず堂々としているのもいいですよね。れっさあぱんださん担当。

 図鑑説明文通り、キリキザンをリーダーとしたコマタナとの群れバトルのようなイメージ。あとふじさん担当。細かい挙動ですが、待機中のコマタナの動きや 腕をあげて指示をする瞬間の動きは、自分でも気に入っています。

 ギアル ギギアル ギギギアルは 懐月さんが動きも含めて作ってくれました。ギギアルまでは画像の回転で回していますが、ギギギアルは斜めのアングルで作画で動かしています。
制作当時2016年の劇場版の発表で急遽マギアナが参戦決定。ボール形態からの変形ギミックをBON-9625さんが描いてくださいました。

 ジバコイルはアクロマが繰り出したシチュエーションで みちかさん担当。
 ダイノーズは重量感、目が出てくる頭のギミック、浮遊するチビノーズなど特徴を盛り込んでいます。たいむさん担当。

 ナットレイはXY以降地面に下りたポーズですが、BWの頃のぶらさがっている姿を、電気石の洞穴に生息しているイメージでシアン29さんに描いて頂きました。

気づいた方もいましたが、テッシードは実は生㌔が以前制作した「イッシュのポケモン言えるのか!」に登場したものを 当時担当したろくいちさんに確認をとって使わせて頂きました。演出上似たようなアニメーションが必要になり、また同じものを用意してもらうのも二度手間と思い、再登場してもらいました。



コドラ ココドラ ボスゴドラそしてメガボスゴドラは進化の過程を描いてみました。ゲームやアニメでは白く光って省略されてしまいますが、手脚や鎧のどの部分が進化後のどこにあたるのか、など想像して変形させています。生㌔の描いた絵コンテにそって、ぐるだぐさんがパーツごとにレイヤーをわけて描いてくれました。

 メガハガネールは3DCGで、冒頭のハガネールのモデリング担当であるコマンドウルフさんが引き続き作成、アニメーションまで仕上げてくれました。こちらも立体出力でフィギュア化を検討していましたが、浮遊するパーツや刺の先のクリアパーツの表現の難易度から見送りました。未だ公式で立体商品の出ていないメガハガネール、いつか欲しいですね。

 ダンバル メタング メタグロスは磁力で合体して進化するという図鑑説明文を再現。3DCGで生㌔Pがモデリング、アニメーションを担当しました。絵コンテによる動きのイメージは早い時期にできていましたが、編集に追われて自分の担当作業がほんとに最後でした。


ダイゴはアニメXYでのメガラペルピンへのキスを 新猫さんに再現してもらいました。メガシンカによって、メタグロスに更にダンバル2匹とメタングが合体してメガメタグロスとなります。宇宙戦艦をイメージしてデザインされたらしいので背景が宇宙になっています。

 最後は3タイプ連続で suzukiさん担当のレジ系、レジスチルです。レジアイス、レジロックの登場時に横に登場した目玉模様がついに3色そろい、レジギガスのお腹の模様の配置になります。次の動画がノーマルタイプ2としてレジギガス登場につなげています。

 タイプ別の動画を連続して並べた時、ポケモンファンであればなんとなく相性の優劣を思い浮かべてしまうので、次にくるのが弱いタイプだと少しマイナス印象になってしまう気がして、動画公開順を効果が抜群の順にしました。しかし、どうやっても抜群がとれないのがノーマルと、ドラゴン(ドラゴン相手にしか抜群にならない)なのでどちらかを1番最初にせざるをえず、スタンダードなノーマルが最初、伝説も多いドラゴンが最後となりました。
ノーマルタイプを最初にして、一番長く続く効果抜群しりとりをした場合、順番は何通りかあるとして、最長だと最後がはがねタイプになると思うのですが…もし他にあったら教えてください!

次回はタイプ相性から離れたレジ繋ぎで、ノーマルタイプ後編の開設をします。


2017年1月8日日曜日

20th祝いつくす解説 いわタイプ

ポケモン20thを祝いつくす動画いわタイプの解説です。

 いわタイプといえば化石から復活させたポケモンが共通でもつタイプです。生きていた元の時代から先天的にいわタイプなのか、復活や化石化の過程で後天的に付いたのか不明ですが、この特徴を取り上げないわけにはいきません。動画の前半は化石ポケモンたちの生きていた太古の時代の想像図、後半は現生するいわポケモンたちの生態、という構成で 古生物ロマンを推したコンセプトにしました。

 BGMは、個人的にゲンシのリズムを思わせるハードマウンテンを原曲に採用。続いて化石の見つかる おつきみやま、壮大なえんとつやまと、いわタイプらしく山メドレーです。アレンジはフェアリー・エスパーも担当して頂いた大丈夫Pです。彼からアレンジされた曲データを受け取った時点で肺癌が発覚して入院するという壮絶な経験をされているので興味ある方は、こちらを御覧ください。

大変な時に曲のリテイク出してごめんなさい。


 タイトルロゴはポケモンの化石復活の元ネタでもある映画「ジュラシックパーク」のオマージュです。ガチゴラスの化石に白い顎髭などは無いかもしれませんが、記号的に何の骨かわかりやすいように印象第一でPEARL7さんにデザインして頂きました。

 子供向け恐竜図鑑の想像図のような夢を掻き立てる方向性でイラストもいくつかPEARL7さんにお願いしています。始祖鳥が「そらをとぶ」ことを習得したのを体現したアーケオス、特徴的な頭蓋骨から頭突説をもつパキケファロサウルスをモチーフとしたラムパルド、化石の抗争跡から想像図で定番のティラノサウルスとトリケラトプスの対決をガチゴラス、トリデプスで。背景も隕石による恐竜絶滅説などをぶちこんだ劇的でケレン味あるものになっています。獣脚類の羽毛説も反映されたガチゴラスのデザイン処理は素晴らしいですね。

年代の考証などすっとばした夢の想像図になります。
アバゴーラが見守る海の中、オムスターvsユレイドルの触手対決、 杯天さん担当。
カブトプスvsアーマルドの鎌対決は おるらいさん担当。関節毎にレイヤーをわけたものを頂き、生㌔が動かしています。

 プテラはメガプテラとして発現した姿が本来の姿(メガシンカ≒真価) だという学説まであるようで、化石復活が生きていた本来の姿なのか揺れますね。日々定義が変わり、想像図が二転三転していく実際の古生物の研究のようです。
 生きている恐竜たちに想いを馳せる時間は終わり、現代において彼らは動かぬ化石であることに気づきます。プテラの化石は初代の頃からわざわざグラフィックが用意されていて、演出に気合が入っていますね。ひみつのコハク自体は化石ではないですが、琥珀(樹液)の中に閉じ込められた蚊から吸った恐竜の血液のDNAを取り出して復活させるという、”ジュラシックパーク"からの引用でしょう。化石や琥珀も含め、担当はPEARL7さんです。


ここから、次々に生きている姿と化石をオーバーラップさせて見せていきます。何億年もの時を一気にかけぬける感じです。
アーケンとハネの化石、ツク之助さん担当。プロトーガとフタの化石 ネオロトさん担当。
タテトプスとたての化石、それを食べているココドラはNo.017さん担当。ズガイドスとずがいの化石、に星さん担当。


 チゴラスとアゴの化石、アマルスとヒレの化石は わっふるさん担当。
オムナイト、カブト 、リーラ、アノプスと、かい、こうら、ねっこ、ツメの化石は杯天さん。その化石を見つめているのはノズパスとジムリーダー・ツツジ。ORASでは化石に憧れるも採掘までは自分でできない未熟な面が描かれたイベントがありました。採掘のプロといえばシンオウ地方のちかおじさん一族、ヒョウタとトウガン。これらも杯天さんで担当されたイラストはアナログ作画です。化石のロマンに取り憑かれた人たちが続きます。ポケモンの原案の田尻智氏も少年期に化石に魅入られた一人だそうな。


 イッシュ地方の博物館館長でもあるアロエはノーマルタイプのジムリーダーですが、化石や遺跡との関わりも深い人物でしょう。カロスのザクロは岩肌そのものに魅力を感じている人物かもしれませんが、化石ポケモンの使い手でもあります。担当はあぜみちとんびさん。
 岩壁に露出した地層から…イワパレスへ繋がります。貝ではなく岩を住処とするヤドカリ系ですが、進化すると地球の歴史を背負っている感じがいいですね。くじらさん担当。

 地中深くで生まれて土を食べて出てくるヨーギラス。生まれたてかもしれません。ヲコワさんがその様子をアナログで複数枚で描いてくださいました。
 地中を時速80kmで掘り進むイワーク。モギノさんに関節ごとに体を分けて描いて頂き、生㌔が動かしました。
 ドサイドンのデザインは、サイドンのドリル主体の攻撃よりは遠隔からの高火力攻撃というイメージ。掌から「がんせきほう」を放つ前、たまにイシツブテも一緒に穴に入れてしまうという図鑑説明文を再現してみました。たまに図鑑で他のポケモンとの関わりに触れるものがあって面白いですね。飛ばされるイシツブテの気持ちも描かれています。おるらいさん担当。

 唐突に歴代タケシ(アニメ無印,HGSS,FRLG,ポケモンカード,初代)という意味のわからないシチュエーションですが、タケシだからギリギリ成立するかな?との判断で採用しました。描かれたのは あぜみちとんびさん。
 マグカルゴは、マグマのナメクジから進化したカタツムリのような姿をしていますが、実は殻ではなく、冷えて固まった岩石部分なのですぐ崩れると図鑑に書かれているのを再現。ぶれいぶさん担当。
 ガメノデスは、カメノテモチーフのカメテテも衝撃的でしたが、さらに集合して人型になるという第六世代でもチャレンジャーなデザイン。アニメでサザエさんジャンケンをしていたのがチャーミングでした。サンムーンが出た今となっては既に馴染んでいる人も多いのではないでしょうか。とくががくとさん担当。

 ギガイアスも関節ごとにわけて頂き、こちらで動かしました。ヲコワさん担当。
 サナギラスは弾丸ポケモンという分類なのですが、なかなか描かれることの少ないガス圧で飛ぶという図鑑の描写を再現。アニメーションを布さんが描いてくださいました。

 ここから、ローリングストーンズのコーナー。各担当に斜面を"ころがる"ポケモンたちを3,4コマで描いて頂きました。ダンゴロ savotさん、ウソハチ ミックーさん、イシズマイは殻にこもる所をハリセンさんに。ウソハチは泣いていますが生理的な体内の水分調整で嘘泣きです。

ガントルは転がるだけでなく着地まで蟹公さん、ツボツボもからにこもる ハマチさん、ゴローンは えりねーさん担当です。
 ゴローニャは手脚をひっこめた転がりモードから空中に飛び出してのキメポーズ、そして大爆発まで。担当のあまあしさんがこの転がる岩場の背景も描いてくださいました。でんきタイプのマルマイン大爆発も描かれた、すっかり大爆発の人。全てアナログです。

 最後に山を崩しながら登場するバンギラス。実際は2m程度のポケモンですが、ミニチュアセットをなめてカメラアングルなどを工夫し、山を超すような巨大感を演出した、怪獣映画のような特撮シーンになっています。担当は万夜さん。

恐竜から始まった動画ですが、最後を怪獣映画で締めるのはちょっとした想いがあります。
T. rex old posture.jpg 発掘された少ない骨から想像するしかなかった初期の研究による想像図は、二足歩行の恐竜は尻尾を引きずって立つ姿が一般的でした。後に尾は引きずらない水平な姿勢がスタンダードになっていくのですが、創作クリーチャーとして怪獣が生まれた時代は、まだ初期の恐竜のイメージが継承されており、俗にゴジラ型と呼ばれています。ゴジラ型恐竜から受け継がれた怪獣のデザインが、バンギラスなどの怪獣ポケモンへと今もなお受け継がれているのです。

 タマゴグループ"怪獣"というカテゴリーがポケモンに存在するのはそういう歴史があるからであり、現実に存在する尻尾を引きずって立つ生き物カンガルーが怪獣グループのガルーラとしてポケモンになっているのも、制作側がゴジラ型を意識している証でありましょう。

 実在しただろう恐竜の研究過程から誕生した「ゴジラ型の姿勢をした恐竜」は、今となっては実在しない想像上の珍クリーチャーとなってしまいましたが、刻一刻と学説が変わっていく恐竜研究による最新の姿だって同じ想像上のクリーチャーには違いありません。誰も本物を見たことありませんからね。
 恐竜という太古に存在したらしい生き物に想いを馳せるのも、実在しない怪獣映画を楽しむのも紙一重のロマンなのではないか、それはまたポケモンにも当てはまるというのが自分の考えです。

メガバンギラスは怪獣感が増してよいデザインだと思います。ゴジラ→スペースゴジラ的な強敵感アレンジを感じます。
 レジアイス、レジロックと登場時の演出はORASの戦闘インの点の動きを再現しています。 イラストはsuzukiさん担当。

次はレジスチルの登場となる はがねタイプの解説を予定しています。